インドのピラニア

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大相撲 VS 病気終わりなき闘い

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「一寸先は闇」



とはよく言ったもので、場所前の稽古では御嶽海に22-1・朝乃山に17-3・貴景勝に13-2と、結局まだまだ太刀打ち出来ないし、どーすりゃあいいんだと、相変わらず最強な白鵬であったが、まさかまさかのコロナにかかってしまうとは。



力士とコロナはシャレにならない相性の悪さである。そもそも分厚い体の鎧をまとっていても、それを維持するためには、途方もない臓器の負担が必要である。ましてや朝っぱらから4~5時間ずっと動きっぱなしの状況から、痩せないならまだしも、たらふく食べて太らなければいけないから大変である。



誰しも社会に出ている以上「職業病」が幾つか存在するものだが、力士の職業病は「痛風」と「糖尿病」である。こんなプロスポーツ、他にあってたまるか。痛風抱えながらの稽古なんて、見ているこっちが痛くなりそうだ。



数多のプロスポーツがあるなかで、病気と闘うことも想定しなければならないスポーツは相撲以外にない。怪我に強いだけでは力士としてはまだまだ。真の強者は病気にも強くなくてはならない。へこたれない臓器を持ってこそ「才能」である。



とは大げさに啖呵を切ったものの、大横綱大鵬ですら高血圧が原因で3場所連続休場していたりするので、力士にとって病魔はある意味最大の敵なのかもしれない。かと思えば、大乃国は200kgの体重と、ホールごとケーキを食べる甘党だというのに、至って健康らしい。



しかし今回は臓器とは関係ない、目に見えないウイルスが相手となると、体の強弱関係なく、公平に力士の体内に入り込み、健康を脅かしてくる。疾患を抱えている人が感染すると、死がちらついてくるし、実際勝富士が29歳という若さで亡くなってしまった。今場所はコロナウイルスの感染により15人が休場するという事態に陥った。



というわけで、今回は大相撲とその背後で常に力士の健康を脅かしてきた病気について、ざっくりと紹介してみようと思います。




1.虫垂炎



「のっけから盲腸かい」と少し拍子抜けする方も居るかもしれないが、実は盲腸は横綱2人を死においやっている病気である。昭和初期の横綱玉錦と、高度経済成長期の横綱玉の海である。



玉錦って誰やねん」と思われる方も多いと思うので、ちょこっと説明を入れると、「昭和の朝青龍」である。素行の悪さと稽古のし過ぎで、「ボロ錦・けんか玉」と揶揄された名横綱である。実際、玉錦の後援会長は2代目山口組の会長だったらしく、しかも義兄弟の盃を交わしているのだから、なーにやってんだって感じである。しかし、双葉山が大相撲の覇権を握る前は玉錦が握っている。昭和の相撲を語るには欠かすことの出来ない、大相撲の傑物の1人である。


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双葉山の初優勝時に喜ぶ玉錦 めちゃ喜んでる

事件が起こったのは昭和13年(1938年)のことである。巡業先で腹痛に見舞われたため、医者の診断を仰いだところ、虫垂炎が悪化して腹膜炎にまでなっていたらしい。「どれほどヤバイんだ??」と医学の知識がないことはさておいて、そもそも盲腸を我慢できる時点で、もうとんでもない根性の持ち主である。まぁ簡単に言ってしまえば、我慢出来過ぎたために早世してしまったのである。



そもそも急性腹膜炎は、今日の医療をもってすると死亡率がおよそ1.3%のようで、統計には高齢者も含まれている。ましてや玉錦は34歳で亡くなったので、別に高齢者でもない。しかし命を奪うということで、如何に力士が病気に対して強くはないか、或いは当時の医療が進んでいなかったのかが分かる。



そのおよそ35年後、またしても横綱が現役中に死去することととなる。第51代横綱玉の海である。現在、大相撲解説としてファンからめちゃくちゃ慕われている、元第50代横綱北の富士のライバルである。玉の海に至っては27歳である。私が27歳なので、玉の海と同じ人生ならば今年で死んでしまうのである。正直言って死ぬほど嫌である。死ぬのは死ぬほど嫌である。



玉の海は既に亡くなる2か月前には発症していたようで、その9月場所は薬で散らしながらの強行出場で12-3で、まさしく化け物である。そんな状態で12-3なら、万全だったら誰が勝てるんだという具合である。実際、双葉山以来の完成された右四つを武器に、これから玉の海の時代になる、と言われていた中での事件である。



ライバルが居なくなったことで、北の富士の1人天下になるんじゃないかと予想する方も居ると思いますが、これで気落ちしてしまい、それ以降優勝1回しか出来なかった。確かに同じ立場だったら、稽古に身が入りなさそうである。この間隙を縫って台頭してきたのが、貴ノ花であり輪島である。



実際の所、玉の海の死因は虫垂炎手術後の肺血栓のようである。術後の予後不良のような、そんな感じである。北の富士は、力士の中ではめちゃくちゃ長命で、78歳でも未だにピンピンしているが、玉の海が見えないところから応援しているのかもしれない。



2.痛風・糖尿病



虫垂炎でも、こんな大事になってしまう位なので、痛風とか糖尿病は、もはや「職業病」と言われるほど頻発してしまう。風の噂だが、痛風になった力士に対して、親方が「糖尿病じゃなくてラッキーだな」とか言われてしまうらしい。なんだそりゃ。



力士の職業病と言われることもあり、誰が代表的かと言われると閉口してしまう感じだが、強いて挙げるとすれば第59代横綱隆の里である。



当時の角界を支配していた千代の富士の対抗馬の1人であり、また千代の富士が唯一と言っていい苦手力士でもあった隆の里。対戦成績は16勝12敗で、新横綱の場所千秋楽全勝同士の対決では、ウルフを高々と釣り上げて全勝優勝を成し遂げたこともある名力士である。優勝は4回と千代の富士に遠く及ばなかったものの、稀勢の里・高安・若の里など、数多の横綱・三役力士を輩出した名伯楽でもある。


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力対力の闘い 隆ノ里、千代の富士を引っこ抜く

確かに優勝回数だけ見れば、他の横綱に比べて劣るところもあるかもしれないが、角界への貢献は計り知れない。VHSを用いた力士研究にいち早く目をつけて、千代の富士の攻略に成功したり、弟子の健康を徹底管理する姿勢。稀勢の里・高安が臓器系の悩みに悩んでいないのは、親方の食事に対する姿勢が大きいと思う。とある記事によると、うどんやラーメンの麺を、部屋で力士が1から作っていたとのこと。*1



冒頭から触れているように、糖尿病から来るコロナウイルスの合併症も、たちまち問題視されている。徹底した検査と予防を行ってもなお、最も密な職業なので対策にも限界がある。ましてや、大相撲も興行で飯のタネを生んでいかなくてはやっていけない商売である。そう簡単に興行を禁止出来るものか。簡単にオリンピック中止とかもガヤが言ってほしくないものである。



ちなみに痛風は、力士でかかっている人数が多すぎるし、相撲芸人のあかつですら痛風にかかっているみたいなので、詳細は割愛とする。




3.蜂窩織炎(ほうかしきえん)



次は、医学部と好角家しか知られていない病気だとかってに思っている病気、蜂窩織炎である。こんなに書ける気がしない漢字の羅列も珍しい。



病気の詳細は、皮膚とその下にある皮下脂肪にかけて、細菌が入り込んで、感染する皮膚の感染症のようで、「そりゃ力士がかかる病気だわ」ってな印象である。あんなに裸足で擦り傷が絶えないスポーツも珍しいからだ。そもそもスポーツではなく、神事という解釈もできるし、相撲はルール以外は全てあいまいなのである。



ここ最近では、2020年の3月に幕内力士の千代丸が、この病気にかかり発熱を起こし休場となった。しかもコロナ騒ぎ真っ只中ということもあり、症状が明らかになるまで気が気じゃなかった。蜂窩織炎だと分かりホッとしたものの、実は蜂窩織炎も最悪の場合死に至る病でもあるので、実は全く安心できないのである。



蜂窩織炎白鵬も感染経験がある。しかし、幸いにも軽症で早期復帰が出来たものの、同じ病気にかかった勢(いきおい)は完治に長引き、数場所痛々しく相撲をとって敵わなかった。その時の記事を見ていると、読んでいるこちらも痛くなりそうな文章が書いていた。*2



全くなじみのない病気にも悩まされるのも、力士の悩ましいところである。




4.その他さまざまな病気



主に3つ代表的な力士の職業病ないし、相撲史を揺るがせた病気もあるが、その他にも力士を悩ませた病気は数多ある。



第48代横綱大鵬も病気に悩まされた力士生活だった。大鵬の場合は高血圧である。しかも、24歳の時で既に高血圧だったらしく、その時でも収縮期血圧が200を超えていたらしい。筆者は100すら超えたこともないのに・・・。



心不全も力士を悩ます病気である。何故か序ノ口から三段目までの下積み時代の力士が多く、何れも10代である。俺はひょっとしたらヤバい扉を開けてしまったのかもしれない。変わり種だと、終戦食後の関取朝明(あさけ)が、夏の暑さに耐えかねて、涼むために川を泳いでいたところ、突然の心不全で亡くなったとのこと。良い子もしっかり準備運動してから泳ぎましょう。



また、同様に昔の話ではあるが、フグ中毒死も意外と多い。有名な例だと昭和初期の関脇の沖ツ海がそれに当たる。wikipediaによると、自分でフグを調理して生き肝を食べてしまったらしい。この当時はフグの調理師免許もないのだろうか。勿論、現代力士でフグ中毒死は流石にない。



ほぼ前例のない難病にかかり、亡くなる力士も居る。若貴が大相撲を騒がせていた時の小結の剣晃(けんこう)である。彼は白血病の汎血球減少症という、「当時日本で4例目」の病気にかかり亡くなったという。現在でも指定難病の1つに選ばれている病気であり、wikipediaの記事もそんな長々と見たくない内容である。




以上でざっと力士に関する病気の記述を終了する。相撲は文字通り、取組も命懸けだし、普段の生活ですら体を酷使しながら生活しているのである。ブログを読んで頂けた方の、相撲に対する見方が少しでも変わると、私もうれしいです。




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